歯科衛生士の転職や結婚について、案内させていただいていますが、そもそも歯科衛生士ってどんな仕事なんでしょう。どうすれば歯科衛生士になれるの?歯科衛生士っておすすめの職業なの?
今回は歯科衛生士の仕事、多様化する働き方についてまとめたいと思います。
20年以上、歯科衛生士の業務の経験を持ち、現在は歯科衛生士の仕事から離れている筆者の目線も交えた主観も入ります。そのあたりをご了解の上、参考にしていただければ幸いです。
歯科衛生士とは?歯科衛生士の歴史
歯科衛生士は1948年制定の歯科衛生士法に基づく厚生労働大臣免許の国家資格となっています。1948年といえば70年以上前。1945年が第二次大戦終戦の年となりますので、当時は現在に比べ、虫歯も多く、口腔衛生の充実を図るために生まれた資格といえるでしょう。
アメリカでは歯科衛生士は1913年に誕生しており、日本の歯科衛生士と比較すると、歯科医師の指示がなくてもレントゲン撮影をしたり、局所麻酔の処置ができます。年収も約800万円と、日本の歯科衛生士年収400万の約2倍と言われています。
歯科衛生士になるには?
歯科衛生士になるためには、厚生労働大臣指定の養成施設である専門学校、短期大学、大学に通い必要なプログラムを履修、国家試験に合格する必要があります。
以前は2年制の専門学校や短大卒業で国家試験の受験資格を取得できました。歯科衛生士学校養成所の指定規則が改正され、2005年(平成17年)を施行日とし、2010年(平成22年)までにすべての養成機関は3年制以上になりました。
筆者は2年制の県立短期大学を卒業しましたが、当時のカリキュラムがハードだったことを思い出します。高校時代とほぼ変わらない時間割、土曜日も通学していた時期がありました。
当時の講師の先生達は「3年制にすると時間が余ってしまうため、2年間に詰め込んだ」ともおっしゃっていました。
この後、高齢者の為の口腔衛生や訪問歯科、インプラントや審美歯科、口腔機能や栄養を考慮した食育指導など歯科衛生士に求められる業務は多様化していったため、とても2年では学びきれなくなっていきました。
歯科衛生学科として4年生大学も生まれました。多くは、2年制の短期大学が4年制になりました。歯科衛生士の資格だけでなく社会福祉系の資格や養護教諭の資格を取得できるカリキュラムが充実している大学もあります。
歯科衛生士の業務・仕事とは?
歯科衛生士の3大業務として、歯科診療補助、予防処置、歯科保健指導があります。これ、試験に出ますね!
- 診療補助:歯科医師の診療をサポートし、患者の口腔内の健康状態を把握するための補助業務を担当します。具体的には、器具の準備や消毒・滅菌、清掃、診察のアシスタント、レントゲン撮影の補助などがあります。
- 予防処置:歯科衛生士は、歯のクリーニング(歯石やステインの除去)やフッ素塗布、シーラントなど、虫歯や歯周病の発症を予防するための処置を行います。定期的なメンテナンスやクリーニングは、口腔内の健康を維持するために非常に重要です。
- 口腔衛生指導:歯科衛生士は、患者に対して、正しい歯磨きや口腔ケアの方法を指導します。また、食生活や喫煙などのライフスタイルに関するアドバイスも行い、口腔内の健康を維持するためのサポートを行います。
これらは、アラフィフの筆者が学生の頃から聞かされている歯科衛生士業務の基本となるものです。
現在、口腔内の健康と全身の健康が密接に結びついていることが様々な研究で解明され、歯科衛生の重要性がクローズアップされています。
おのずと、歯科衛生士の業務も多岐にわたり、活躍の場が広がっていると言えるでしょう。
歯科衛生士と歯科助手の違いは?
歯科治療でクリニックにかかった時に、一見、歯科衛生士と歯科助手の区別がつかないことが多いですよね。一般の人にとっては、歯科衛生士も歯科助手も同じだと思っている人が多い事でしょう。「歯科衛生士です」と自己紹介しても、ああ「歯科助手さんね」と言われたことはありませんか?
大きな違いは、歯科診療で、患者さんの口腔内に直接ふれて処置ができるのは歯科医師と歯科衛生士だけとされています。
歯科助手さんはあくまでも、バキュームや器具の手渡しなどのアシスタント業務や、会計や受付を兼務している人も多いでしょう。とはいえ、インレーやクラウンの合着後、余剰セメントの除去を歯科助手さんがやってしまっているクリニックも多数あります。レントゲンのデンタル撮影のセッティングも、歯科衛生士より上手な助手さんは沢山います。
スタッフを多く抱えているクリニックほど、歯科衛生士と助手さんの業務がはっきりわかれているところが多い傾向にあります。私が以前に勤めていたクリニックでは、歯科衛生士がドクターの診療補助につくことは殆どありませんでした。歯科衛生士はクリーニングに特化し、予防処置を行っていました。
歯科助手の専門学校や民間資格として「歯科助手」がありますが、私個人の経験からすると、わざわざ専門学校に通学しなくてもいいのではないかなと思います。
高校卒業して、新卒で歯科クリニックに就職して、立派に勤めている助手さんを沢山みているからだと思います。通学で大金を払うより、クリニックに就職して、手技・実技を学び、通信講座やオンラインで全身的な医療体系などを学ぶのも一つの選択だと思います。
ただ、歯科助手さんの給与は歯科衛生士に劣ります。一旦就職した後でもいいので、歯科医療をもっと極めたいなと思う助手さんがいたら、歯科衛生士を目指すのもおすすめです。
歯科衛生士の就職先は?
歯科衛生士は、多くは歯科クリニックなどの診療所である「臨床の現場」で業務にあたる人が殆どでしょう。「現場」としては総合病院の歯科口腔外科や個人開業医の一般歯科、審美歯科、矯正歯科など、専門性が分かれることもあるでしょう。その他にも紹介しておきます。
- クリニック
診療所(一般、審美歯科、矯正)、病院(口腔外科、病棟担当、外来担当)、訪問歯科など多岐にわたります。 - 老人介護施設
口腔内の衰え、オーラルフレイルが全身のフレイルに繋がると考えられるため、歯科衛生に取り組み、口からの栄養摂取を重要視する介護施設が増えており、老健で勤務する歯科衛生士も増えてきています。歯科衛生士の資格を活かしつつ、ヘルパーの資格を取得する人もいます。
- 行政勤務
市役所、県庁の健康課、保健所や保健センターなど。「歯科衛生士」の募集は少ないと言えるでしょう。一旦入職してしまえば、安定した職場なので、辞める人がいません。臨床が無理と思っている人は学生のうちから、市区町村の歯科衛生士の募集をチェックしておきましょう。また、一般職員の試験を受けて、とにかく行政の事務職に就職し、資格を生かせる職種や課に異動できるチャンスを狙うのも一つの手段です。
- 歯科系企業
ライオンやサンスターなど、歯磨きペーストや歯ブラシを販売しているような企業への就職も、狭き門ですが、3年制4年制になったことで、就活しやすくなったのではないかと思います。
筆者の同期は、ライオンの営業職を受験しましたが落ちました。
- 歯科医療系企業
歯科ユニットや歯科のレセコン・電子カルテの会社、歯科診療の材料を販売する会社など。歯科の知識を生かした営業職の衛生士も少数ですが増えています。
以前は男性の営業さんが多かったのですが、歯科の業界未経験の素人の男性が営業をするんだったら、歯科衛生士に勧められたほうが説得力がありますよね。 - 教育機関
歯科衛生学科を卒業後、大学院を経て、歯科衛生学科の教員になる人や、歯科衛生士の専門学校のインストラクター・講師になる人もいます。筆者の友人にも一人、そんな人がいます。学生時代から学年1位だった優秀な人なので、うなずけます。 - 学校(養護教諭として)
番外編として、歯科衛生士と養護教諭の資格取得ができる大学を卒業し、歯科衛生士としてではなく養護教諭として小・中・高校に就職する人も少数ですがいます。若い生徒さん達に、口腔衛生の啓発をしてくれるといいですね。
歯科衛生士の勤務形態、あなたは?|正社員・パート・アルバイト
あなたは現在、正社員で働いていますか?パートやアルバイトとして働いていますか?
女性がメインの職場ですから、働き方が様々だと思います。新卒で就職し、独身の間は正社員で働いていても、結婚、妊娠、育児となった時に、時短勤務を考えますよね。
人生のターニングポイントで、勤務形態を変更して働いていけるのが、歯科衛生士の良いところではないでしょうか。
ここでは、筆者が経験した勤務形態をご紹介、良かった点、イマイチだった点をご紹介します。
歯科衛生士、土日と平日1日休みの週休3日の勤務をやってみた
数年前に筆者が勤務した、医療法人の歯科クリニックで週休3日勤務というのを経験しました。
それまで、筆者は病院歯科に勤務していたのですが、なんと恵まれたことに、週休2日、しかも土日休みでした。10年その生活で慣れ切ってしまっていたので、土日休みでなくなることがちょっと怖かったんです。
転職時に、働き方を選べる職場だったので、週休3日、しかも土日休みという超わがまま勤務を選択しました。手取りで約24万円。それまでの私のお給料からは4万円ほどダウンでしたが、仕方がない。
これは週休3日だから、給与が下がったわけではありません。経験者で、転職1年目はこのクリニックはこんな感じです。認定歯科衛生士の資格取得や、担当患者数が増えていくと給与がアップします。
他に週休2日の人もいますが、ほぼ同じ水準です。
このクリニックでは、週休2日の人も3日の人も、1週間の勤務時間を40時間と捉えます。
ですので、週休2日の人は5日勤務で、1日の勤務時間を8時間。
週休3日は1週間に4日勤務で、1日の勤務時間を10時間に設定しています。
週休3日の私は、定時が8:00始業、19:00終業。1日11時間拘束となりました。
結論、残業がなくて、割り切ることができれば週休3日も良いと思いますが、私は1年程で疲れてしまいました。
定時19:00で終業のはずが、会議への参加で、19:30からスタート、終電に乗ることも結構ありました。こんな感じなので、3日ある休みのうち、1日はゴロゴロと家で過ごすことが多くなってしまいました。
経営側が、週休3日もくれてやっているんだから、会議がちょっと遅くなっても大丈夫だろう。という考えなんです。もちろん、会議のための残業代は出ませんでした。
残業代は別にして、経済的にちょっと難ありでした。休みが1日多いと、1日余分にお金を使う機会が増えてしまうんです。買い物に出かけたり、ヨガに通って、ゆったりカフェでランチを・・・なんてやっていたら、物凄い勢いで口座の残高が減っていきました。また、定時の19:00で上がれたとしても、クリニックの仲間で夕ご飯を食べて帰ることが多くなりました。この頃は自炊を殆どしていませんでしたね。
受付事務をやっている若い女の子は、事務は給料が安いので、週休3日のうち1日は必ず別のアルバイトを入れていました。シングルマザーの歯科衛生士も、他のクリニックにアルバイトに行っていました。
何か学ぶ、副業するなど、目的を持っている人達にとっては週休3日は有効活用できそうです。
しかし、19:00定時は、ご家庭を持つ人にとってはちょっと厳しいかもしれませんね。
週2日勤務のアルバイト歯科衛生士|某企業の歯科診療室
結婚して、病院歯科に勤務する前に、派遣で事務仕事をしていました。派遣の契約が終了するタイミングで、パートナーと話し合い、彼の実家を2世帯住宅にリフォームし姑と同居することになりました。
専業主婦になるつもりはなかったのですが、見知らぬ田舎町に引っ越し、生活に慣れるまでフルタイムの仕事は控えていました。平日にスポーツジムに行ったりして、のんびり過ごしていましたが、平日昼間って元気な60代70代のお姉さまたちしかいないんですよ!
そんな時に、友人の紹介で、週2日だけ企業内の歯科診療室で働かないかと、誘いを受けたのでした。
産休の歯科衛生士に代わって、復帰するまでの期間を非常勤で繋ぎたいという企業の意向でした。
企業内なので、土日休み、会社と同じ9:00始業ですが、9:00に予約が入っているわけではないんです。9:00から清掃・消毒などの準備を始めて、9:30からの予約なんです。17:00には患者さんの治療が終わって、30分で片付けて17:30退社という恵まれた環境でした。
歯科衛生士でも給与と役職が紐づいていて、歯科衛生士で係長職の人が複数いましたね。昇格すると、朝礼で発表されるんですよ。企業っぽいですよね。
給料も拘束時間も文句なしだったんですが、この診療室、都内だったんです。筆者は、結婚して田舎に引っ越した後だったので、高速バスと電車を乗り継ぎ、2時間かけての通勤でした。疲れることもありましたが、週2日の勤務だったので契約期間までお世話になりました。家がもっと近かったら、ずっと勤務したい診療室でした。日給1万円、交通費1日往復4000円分を全額支給してもらいました。
この企業内歯科なら定年まで勤務できそうですよね。40代の歯科衛生士が3人いましたからね・・・。うち2人はシングルでした。ホント、いい職場は皆さん、辞めないんですよね。
しかしながら、この企業内歯科診療室というのは、30年位前に激減したと言われています。
バブルがはじけた時に景気が悪くなって、企業が削っていくものって、保養所施設や企業内にあった診療所だったんです。なので、現在も歯科診療室が残っている会社って超有名大手企業がほとんどです。
筆者が卒業した短大は、バブルがはじける前は企業内診療室の求人が毎年あったそうです。
しかし、バブル後、筆者の就活時には、企業の診療室からの求人はゼロでした。
企業内の診療室が閉鎖になったというウワサも、この頃よく耳にしました。
企業内の歯科に勤務希望の歯科衛生士は普段から、アンテナを高くして、情報を集めておきましょう。
歯科衛生士の単発バイト!企業の歯科検診
筆者は歯科検診の単発バイトもしたことがあります。
とある企業の健康診断で、歯科検診も標準に含まれており、検診のメンバーに参加させてもらいました。
歯科医師が虫歯のカウント、咬合異常がないかのチェックをします。検診表への記入は、歯科の受付事務の経験者が担当していました。歯科衛生士は二人、歯石・プラークの付着の有無を主に下顎前歯の舌側を見て確認しました。歯周ポケットは、下顎の前歯か臼歯部の2点を測ったと思います(ここの記憶が曖昧ですみません)。この診査をもとに、ワンポイントのブラッシング指導をします。もう指導とまではいかないですね。下前歯のブラシの当て方や、ブラッシング圧など、本当にワンポイントでした。
正味2分くらい・・・2分もかけられたかなぁ。私はしょっちゅう「巻き」が入り、急げとせかされました。
このアルバイトも日給1万円でした。交通費は出ませんでしたが、お昼の食事代は出してもらいました。
この企業が関東エリアに支店を持っていたので、朝早くに集合、そこから検診の車両に乗って、検診会場となる企業へ出発しました。ちょっとしたバスツアーのような気分になりました。
検診の時間帯も、1日中やっているわけではなく、15:00には片付けを終えて帰路につくというパターンでしたので、楽しくできたアルバイトでした。
デメリットとしては、「検診」なので、レギュラーとして継続的にオファーがあるわけではないことです。企業の検診は春から夏にかけて多いのではないでしょうか。
また、企業が勤務時間に実施するので、平日だけの実施となります。平日はクリニックで働いて、土日に歯科検診のアルバイトなんていう副業パターンが出来ればいいのですが、なかなかうまくいきませんね。
パート勤務の歯科衛生士はシフト管理をしっかりと
筆者はパート勤務はしたことがなかったので、友人に聞いたエピソードをひとつ。
これはデメリットと言えるかもしれません。
友人は、子供が中学生になった頃、手が離れたこともあり、まずは扶養枠内で働こうと決めて、個人経営の歯科クリニックの募集に申し込みました。
人事やお金の管理は、院長の奥さんが担当していたそうで、シフトを決めて週2~3日の勤務としたそうです。筆者は、「院長の奥さん」というワードが出てきただけで、悪い予感しかしませんでしたが、仕方ない。友人が選んで入ったクリニックですから。
で、そのクリニックは、事前にシフトの予定を組んで、勤務日数や勤務時間を確認するのですが、この奥さんが翌日の予約状況を見て、予約数が少ないと「来なくていいです」、と連絡をよこしたそうなんです。
だんだん「来なくていい」という連絡が多くなり、週に1日程度しか働いてない月が続くようになってしまったそうです。時給制ですから、行かないとお給料は貰えないです。
「扶養枠内、週2~3日勤務」という条件で、曜日も日数もアバウトにされてしまい、扶養枠内どころか、全然稼げなかったそうです。クリニックに都合よく使われてしまった感じですよね。
結局、友人はこの奥さんとソリも合わなかったそうで、1年経たないうちに辞めました。
シフトが決定しているのに、好き勝手に勤務日を変更されてはたまらないですね。
友人のこの件はレア案件かもしれませんが、逆に、扶養枠内を超えそう。でもクリニックが忙しそうだからサービスで勤務しちゃう、なんてこともあるかもしれませんね。雇用側としては絶対やってはいけないことなので、もし頼まれてもお断りするべきです。このへんは、なぁなぁにならないように注意しましょう。
歯科衛生士に復帰|復職・ブランクありでも大丈夫?
歯科衛生士学校や歯科衛生士学科を卒業して、全く勤務したことがない人がいたとします。
その人が卒業から10年経過した時、初めて歯科衛生士として働いてみようと思うと、ちょっと厳しいのかなと筆者は思っています。しかし、歯科業界は数十年、慢性的な歯科衛生士不足です。
本当にやる気があって、新卒の人と同じお給料でもいい、年下の歯科助手さんに教わることになってもしかたない、大丈夫!と思える人なら、やっていけると思います。
一般的には20代の頃を、歯科衛生士として仕事し、出産子育てのために10年くらいのブランクがある。というようは人、年齢も30代後半から40代前半なら、復職できます。
私は、結婚前に歯科衛生士から離れて、派遣で事務仕事をしたり、専業主婦をして過ごしました。
単発の検診のバイトを1ヶ月に1回あるかないかの回数(年10回くらい)はしていて、5年程のブランクでしたが、問題なく復職できました。当時の年齢は35歳でした。
ブランク後の就職先が病院歯科だったので、内科の病気と口腔内の健康について、書籍を購入したり院内の勉強会にも積極的に参加しました。歯科については、当時、県と歯科医師会が協力して行っていた歯科衛生士の復職支援事業に参加しました。スケーラーのシャープニングや仮歯(TEK)の作成など、普段、歯科生成士学校や歯科衛生学科で教鞭をとっている先生方が無料で指導してくれました。
また、スケーリングの復習については、歯科材料メーカーなどが主催しているセミナーに参加、デンタルショーでも有名な先生方の講演会がありましたので、まめに参加しました。
40歳手前で就職できたとして、周囲のスタッフがブランクありの人だと理解してくれても、患者さんは年齢がそれなりに行っていれば、ベテランだと思ってしまうので対応できるようにしておきたいものです。
ちなみに、現在筆者はアラフィフ(あえて年齢は言いませんが)。この春から、都内に住む同級生が新しい歯科クリニックでの常勤勤務が決まったそうです。一般歯科です。子供3人(大学生2人、高校生1人)ですから、お金がかかります。「母は頑張るよ!」と張り切っていました。
歯科衛生士の求人情報ではブランクOKのコメントが多数
求人サイトなどでも、「ブランクOK」を表示させているクリニックが増えたように思います。
ブランクの理由として、色々な事情があるかと思いますが、子育てが一段落している人と想定しているクリニックが多いのではないでしょうか。
また、ブランクOKとともに、「院内研修」や「フォロー充実」などの記載があれば、働き始めてからも、指導の先輩が1人ついてくれるなど、フォローアップ体制が整っている可能性が高いです。
求人情報で盛られている可能性もゼロではありませんが、面接時、入職してからも、知ったかぶりはせず、できないこと、苦手なことなどは正直に言っておきましょう。
おすすめ復職支援・セミナー|自信を持って復職しよう
復職してから、クリニックのフォローアップを受けるのももちろん悪くないのですが、正直、そのクオリティは入ってみないとわからないのが、正直なところです。
先輩歯科衛生士がひとり、新入社員に付いてフォローする、というクリニックも多く存在しますが、その先輩にも当たりハズレがありそうですよね?
復職前に本当に、知識を確認しておきたい、現場感覚を取り戻しておきたいという人にご案内しておきます。歯科医師会が主催している復職支援事業や、有料になりますが、歯科材料メーカーのセミナーなどおすすめです。
最近はe-Learningも増えてきていますので、セミナー受講のハードルも下がってきました。お手軽に受講できるセミナー数が増えました。
日本歯科医師会|歯科衛生士の復職支援事業
各自治体の歯科医師会が主催しているセミナーです。各サイトを確認するとまだ、今年度の情報に更新されてないものが多いですね。前年度のセミナー時期と同じ時期に開催されることが多いので、こまめにチェックし、募集開始を逃さないようにしましょう。参加費は無料のセミナーがほとんどです。
モリタ友の会|基本から応用まで。全国エリアで開催
歯科医療業界ではお馴染みの総合歯科医療商社、株式会社モリタが主催するセミナーが超充実しています。筆者は定期的にセミナーを受講させてもらっていました。
SRP、特にグレーシーキュレット使いの基本から応用までプログラムが充実しています。
モリタ友の会の有料会員に入会すると、割引料金でセミナーを受講することができます。
年会費が3000円ですが、セミナー1回でほぼ元を取れてしまいます。
そもそも、この3000円の内訳も、2500円分の商品が送られてきます。文房具や、オーラルケアグッズ、頻繁に使用する、11-12のキュレットが貰えることもあります。
GC|歯科衛生士の復職支援コンテンツが充実
復職希望の歯科衛生士をターゲットにしたコンテンツを配信しているのが株式会社GCです。
GCも歯科衛生士にとってはお馴染みの会社ですね。ルシェロの歯ブラシや、印象材、レジンなど、歯科治療になくてはならないメーカーです。製品の取り扱いについての説明動画がわかりやすいので、ぜひ、GCのホームページは隅々よーくチェックすることをおすすめします。
GCにも友の会があり、年間3300円ですが、モリタと同じようにセミナーの参加費が割引になります。
セミナー内容を確認して、受講希望であれば、友の会に入会してしまった方がお得です。
歯科衛生士の新しい働き方
歯科衛生士の資格を活かした働き方はこの10年で多様化してきました。まだまだレア案件ではありますが、歯科クリニックばかりが歯科衛生士の職場ではなくなってきました。
筆者が学生時代は誤嚥性肺炎という言葉もなかったと思います。学校では高齢者の口腔機能についてのカリキュラムはありませんでした。現在は、高齢者の口腔内の環境と全身的な健康維持が重要視され、高齢者介護施設で口腔ケアのための歯科衛生士の求人が増えてきました。
また、病院でも外来歯科だけでなく、病棟専従として看護師さん達と仕事をしている歯科衛生士もいるようです。
フリーランスという働き方もありますね。ここ10年ほどで台頭してきた歯科衛生士資格を活かした、新しめの職場、働き方を案内したいと思います。
フリーランス歯科衛生士
筆者は勉強不足ですみません、「数件の歯科クリニックをかけもちしている歯科衛生士」という印象が強くて。しかし、現在、フリーランス歯科衛生士は臨床だけでなく、マニュアル作成、書籍の出版、新人教育、歯科医院の経営コンサルタント、人事コンサルタント、広報など活躍の場が広がっているというではありませんか。
しかしながら、経験とご自身のブランディングと売り込みも必要となります。インフルエンサーのような歯科衛生も増えてきています。このあたりになると、人脈を駆使しているのかなと思います。また、スキルや経験値がものを言う部分もありますので、学校を卒業したばかりの歯科衛生士がフリーランスを名乗るのはなかなか厳しいのかなと考えます。
最近ではフリーランス歯科衛生士を抱えるエージェントも増えてきているようですが、筆者の目にはまだ安定した成長を継続している会社が少ないように思います。エージェントのご紹介はもう少し機が熟してから、調べてからにしますね。
フリーランス歯科衛生士の土屋和子先生をご存知でしょうか?
筆者は以前勤務した病院歯科のセミナーに土屋先生をお呼びして、参加したことがあります。
土屋先生にセミナーをお願いしても、超人気で、2年とか3年待ちと言われていました。
フリーランス歯科衛生士のパイオニア、第1号と言われています。歯科衛生士として、アメリカに留学されたりもしています。子供さんが2人くらいいらっしゃったのではないかと思います。
たしか、シングルマザーで生活のために、歯科クリニックを2軒かけもちしたのがきっかけだったのではないかとセミナーでおっしゃっていました。
留学されたアメリカではフリーランスで働く歯科衛生士が多く、日本でもできるのではないかと思ったと、業界雑誌のインタビューでは応えていましたね。
土屋先生が2軒かけもちしているクリニックは、都内でも有名、大きなクリニックで、院長先生もセミナー講師をされていました。そんな環境もあって、セミナーだけでなく、歯周病治療のスキルを磨く歯科衛生士のためのスケーリング、ルートプレーニングの書籍も多数執筆しています。
筆者はDVDも持っています。
歯科業務の中で、得意分野のある人、「認定」を持っている歯科衛生士は強みがあるので、フリーランスとして需要がありそうですよね。
土屋和子が患者さんに伝える言葉のルールと引き出し [ 土屋和子 ] 価格:2,970円 |
在宅勤務の歯科衛生士
臨床の歯科衛生士は現場ありきですから、在宅で仕事というのは、企業に勤務する歯科衛生士だと想像がつくでしょう。歯科材料・機器メーカーの営業やオンラインセミナーの運営などの仕事をしている衛生士も少数ですがいます。臨床経験者が活躍できそうな仕事だと思います。
また、歯科衛生士の国家試験合格講座や、歯科助手の通信講座の講師もレアですが勤務している人がいます。コロナ禍でzoomを利用したオンラインセミナーが増えて需要が高まったようです。
高齢者歯科の歯科衛生士
歯科衛生士の仕事では比較的新しめの分野になると思います。
20代での勤務者が少ないと言われていますが、訪問歯科は今後ますます増えていくのではないかと思います。高齢者の介護施設も、デイサービス専門の事業所が多数できています。大きな施設ですと、歯科衛生士の募集をしていることがあります。
中・小規模の事業所は、近隣の訪問歯科をやっている歯科クリニックに依頼して、曜日を決めて巡回してもらい、利用者さんが受診する、という方法もあるかと思います。この方が、常勤歯科衛生士を雇うより、経済的にコストが低く抑えられそうです。
訪問歯科専従で仕事する歯科衛生士も徐々にですが増えてきているようです。
副業としての歯科衛生士
歯科衛生士の求人で最近目にする「週1日~OK」の文字。
実は歯科衛生士の資格を持っているけど、今は事務仕事をしている。なんて人も沢山いると思います。(筆者もそのひとりですが・・・)。例えば、パート勤務で事務の仕事を週に3日、4日働いているけど、お給料がいまいち。時間的に余裕があって、もう1日くらい働けそうなんていう人には、この週1日の歯科衛生士の仕事はいいかもしれませんね。
今は歯科の仕事がしんどくて、別の仕事をしているけど、腕を鈍らせたくない!なんて人もいるかもせれません。時給1500円なんていうところも増えてきていますので、挑戦してみる価値はありそうですよね。
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